第362章

富裕層が集まるエリアだけあって、あたりは高級店や一流クラブで埋め尽くされていた。

二人が足を踏み入れた「ビリンスク・エンターテインメント・シティ」は、ビリンスク・インターナショナルのオーナーが所有する施設だ。一階から三階まではブランドショップが並び、クラブはその上の四階に位置している。

ウィリアムの後ろについて歩き、二階に上がったところで、二人は思いがけず知った顔に出くわした。

「あなたたち、やっぱりお知り合いだったのね!」

ヒルダの前に姿を現したのは、こちらへ向かってくる一行だった。黒服のボディガードたちに守られるようにして中央を歩く、若く美しい少女――テヒラ・ダミアンではないか。

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