チャプター 465

翌日、ヒルダは早朝から「協会」へと足を運んだ。今日は新たなアンバサダー契約の獲得者が発表される日だったからだ。トッププロジェクトを手掛ける有力者たちは皆、この日を心待ちにしていた。もっとも、その契約金自体は、期待するほどのものではない。年間八千という額は、巨万の富を持つヒルダにとって取るに足らない端金(はしたがね)に過ぎない。彼女が求めていたのは、名簿の頂点に名を刻むという「栄光」そのものだった。

最高ランクの協会に集う数多の才ある実業家たち、その数千もの強豪を相手にアンバサダーの座を競い合う光景を想像してみてほしい。それはまるで、領土を奪い合う群雄割拠の戦場のようであり、ヒルダもまた、その...

ログインして続きを読む