第560章

翌日、早朝からネイサンのスタイリストチームが到着した。彼らがヒルダの身支度を整えると、彼女は出かける準備を済ませた。

クロス・グループの入り口で車を降りようとするヒルダに、車内に残るネイサンが改めて尋ねた。「本当に行かなくていいのか? 俺が応援に行けば盛り上がるぞ」

「あなたの人気を利用してイベントを盛り上げるなんて、御免だわ」ヒルダは鼻で笑ってそう言った。

ネイサンは首を横に振り、ため息をつきながら、入り口へと駆けていく彼女の後ろ姿を見送った。ふと、オフィスの入り口に掲示されたポスターが目に入った……。そうか、ヒルダはクロス・グループの講堂でスピーチをしてから、サイン会に出るんだったな...

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