第591章

これはターディ全土にとっての栄光だった!サハラというその名は、間違いなく歴史に刻まれるだろう。

金メダルを握りしめ、感極まって号泣するサハラの中継映像を見つめながら、トーマスは背筋に悪寒が走るのを感じた。なぜだかは分からなかった。

「トーマス、私のオフィスに来て」

突然、内線電話からヒルダの声が響いた。コーヒーをひと口すすると、彼は急いでヒルダのオフィスへと向かった。

オフィスに入ると、ヒルダもまた大会の生中継を見ていた。画面の中では、サハラがインタビューを受けながら涙を流している。

「両親に感謝したいです。二人がいなければ、今の私はありませんでしたから……」

しばらくの間、二人は...

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