チャプター 601

ドアをくぐるやいなや、例のインチキ爺さんが声を上げた。「お主、額が広く、瞳に光が宿っておるな。仙人の生まれ変わりか、さもなくば天から降りてきた仙女じゃろう。早うこっちへ来て、よく見せるんじゃ」

ヒルダは呆れて言葉も出なかった。(このインチキ占い師、本当にプロ意識のかけらもないわね。自分でセリフを考えることすらせず、映画のセリフをそのままパクるなんて!)

ネイサンがあまりに興奮しているのを見て、ヒルダは彼の手前、仕方なく席に着き、その老詐欺師に手を差し出した。爺さんは彼女の手を掴んで手相を眺めると、今度は顔の骨格を確かめるように顔に触れてきた。節くれだった指で頬を押し、血色を観察しながら、し...

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