第七十一章

目の前の光景を見て、ヒルダは眉をひそめた。

決まり悪そうに、レックスはぎこちない笑みを浮かべながらルナを抱きしめた。「へへ……へへ……これは俺の隊長の娘なんだ」

コニーが不満げな顔で事情を説明すると、トーマスもまた恥ずかしさに身を縮めた。

真実を聞かされたヒルダは呆然とした。ルナは彼らがゴミ箱から拾ってきた娘などではなかったのだ! 誤解は解けたものの、レックスとトーマスがゲイのカップルだというイメージは、彼女の脳裏に深く焼き付いてしまった。

もちろん、レックスとの見合い話がこれ以上進展することは二度となかった。

「行きましょう」コニーはヒルダに声をかけた。

主人がまもなく出かけると...

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