第七十九章

翌日、ルナは驚くほど早く目を覚ました。身支度を整えた後、ヒルダは乳母たちの指導の下、ルナの顔を洗ってやり、歯磨きを手伝った。

自分の子供の世話をするのは初めてのことだったため、ヒルダはひどく緊張していた。母親として至らないのではないか、と不安だったのだ。幸いにもルナは非常に聞き分けがよく、すべては順調に進んだ。

ヒルダは、国籍の異なる三、四人の乳母たちがルナの世話をしていることに気がついた。幼い頃から各国の言葉に親しませ、ルナが多言語を自由に操れるようにするため、彼女たちはそれぞれの母国語で話しかけているのだ。

やがて、身ぎれいになったお利口なルナは、ヒルダの後について朝食をとるために階...

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