第七十八章

人は自分に最も欠けているものを必死に誇示しようとする、というのは真実だった。サハラは自分がどのような経緯でダミアン家の令嬢になったかを知っていたため、その称号を手に入れた後も、根深い劣等感に苛まれていた。

かつてサハラは、家系図にその名を刻まれることを夢見ていた。今、夢が叶っただけでなく、彼女はダミアン家の令嬢という地位まで手に入れたのだ。その瞬間、彼女は人生のあらゆる困難を乗り越えたと感じ、かつての自分と同じような境遇にある次の人間に矛先を向け、苦しめる側に回ったのである。

ついにヒルダは我慢できず、家系図についての考えを口にした。

「ダミアン家の一員であることを誇りに思う人間もいれば、...

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