第868章

ヒルダが取り出した裸の写真の束を見て、イーノックの口元が引きつった。紛れもなく、そこに写っているのは自分自身の裸体だ。あらゆるポーズ、あらゆる表情があらわになっていた。

勘が正しければ、数日前の夜にルシールが撮ったものだ……いや、あの「偽ルシール」が撮ったに違いない。

ようやくつじつまが合った。今までどれだけ口説いてもなびかなかったあの美女が、その日に限って突然、夕食の誘いに応じたのだ。

それどころか、彼女は自ら進んでワインを飲んでいた。酒に弱いルシールは、食事が終わる頃にはすっかり出来上がっていた。もちろん、紳士的にダミアン家へ送り届けるはずもない。彼はホテルの部屋を取り、彼女をそこへ...

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