第885章

ネイサンがアンソニーを引きずっていく際、弟の肩に親しげに腕を回すのを、ヒルダは驚きのあまり呆然と見送った。

いったいどうやって、この二人が一緒になったのだろう?

それだけでなく、ネイサンはアンソニーを連れ帰ってきているではないか!

ネイサンの発案だとは考えにくい。

ここはアエバサ邸だが、実権を握っているのは依然としてコニーだ。ネイサンは時折コニーの目を盗んでちょっとした悪さをすることはあっても、彼女を前にすると、まるで猫に見つかったネズミのようになる。たとえこの「ネズミ」がどれほど面の皮が厚かろうとも、コニーの指示には従順に従うのだ。

ならば、これはコニーの考えなのだろうか?

コニ...

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