第889章

娘の無事を確認すると、コニーの強張っていた表情はようやく和らいだ。だが、彼女はリリーの首を掴んだまま、プレイグに向かって言い放った。

「娘を離しなさい。そうすればリリーを渡すわ」

プレイグはリリーの下に広がる血溜まりを見て、目の前の冷酷な女が躊躇などしないことを悟った。彼は無言でヒルダを掴み上げると、コニーの足元近くへ放り投げた。

トーマスの死に様とリリーの姿が脳裏をよぎり、泣き腫らして脱力していたヒルダだったが、プレイグの手が緩んだ瞬間、生への執着が彼女を突き動かした。彼女は渾身の力を振り絞り、コニーの足元へと転がっていった。

娘の姿を見たコニーは密かに安堵し、リリーを向こうへ突き飛...

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