第1章

慎吾のアパートの前で、私は心臓をバクバクさせながら、手にした手作りの誕生日ケーキが崩れないよう必死にバランスを取っていた。今日は彼の二十二歳の誕生日。このケーキのために、私は午後いっぱいを費やした。一層一層に、私の愛情をたっぷりと染み込ませて。

「お誕生日おめでとう、慎吾!あなたの好きなの、作ったよ――」ドアを押し開けた瞬間、言葉が喉に詰まった。

寝室から聞こえてきたのは、低い喘ぎ声――苦痛の声じゃない。……そっち系の、声。

寝室のドアを押し開けた瞬間、私の世界は崩壊した。

慎吾の裸体が金髪の女に押し付けられ、二人の四肢は想像の余地もないほどに絡み合っていた。ベッドの上には黒、赤、ピンクと、色とりどりのランジェリーが散乱している――明らかに一人以上のものではない。

私の手からケーキが滑り落ち、床に叩きつけられてクリームがそこら中に飛び散った。

「うわ! 泉美? なんでお前がここにいんだよ!」慎吾はガバッと頭を上げ、その目に罪悪感はなく、ただ苛立ちだけが浮かんでいた。

金髪の女はなんと笑い声をあげ、ゆっくりと起き上がると、私の目の前でこれ見よがしに完璧な体を誇示した。さらに私の心を打ち砕いたのは、彼女がベッド脇に掛かっていたシャツ――先月、私が慎吾に早めの誕生日プレゼントとして贈ったもの――に袖を通したことだった。

「あら、この子が噂のパン屋の女の子?」女は私を上から下まで見回して、まるで冗談の種でも見るかのような口調で言った。

涙で視界が滲み始めたが、私は必死でそれを堪えた。この女を満足させてたまるものか。

慎吾はシーツを体に巻きつけながら立ち上がると、私が今まで見たこともないような冷たい笑みを浮かべた。「泉美、本気で俺がパン屋の小娘と真剣になると思ってたのか? おいおい、ただの遊びだよ。ケーキをいくつか作ったくらいで、俺の心が買えると思ったのか?」

その言葉一つ一つが胸に突き刺さった。私たちは二年間付き合っていた。二年も! 彼は私を愛してくれていると思っていた。未来があると思っていたのに……。

「最初から、私を騙してたの?」私の声は震えていた。

「騙す? 別に無理やりベッドに連れ込んだわけじゃないだろ」慎吾は肩をすくめ、私の涙にまったく無関心だった。「とっとと出ていけ、泉美。これ以上みっともない真似はするな」

私は背を向けて走り出した。ついに涙が堰を切って溢れ出す。背後から、女の甲高い笑い声と、慎吾の気だるげな罵り声が聞こえてきた。

―――

三時間後、私は東下町にある『夜桜』というバーで、五杯目のウィスキーを前に座っていた。アルコールが喉を焼くが、胸の痛みに比べれば何でもなかった。

「あのクソ野郎……何もかも、最悪……」グラスに涙がぽたぽたと落ちるのを、私はただ見つめていた。

「ひどい夜を過ごしているようだね」

隣から、深くて魅力的な声がした。顔を上げると、バーカウンターの向こうの端に、信じられないほどハンサムな男性が座っていた。高価そうな黒いスーツを身にまとい、深いブラウンの瞳と、シャープな顔立ちをしている。成熟していて、危険で、それでいて奇妙に惹きつけられる雰囲気があった。

「私のこと、見てたの?」アルコールのせいで、私は大胆になっていた。

「見ないでいるのは難しい」彼はグラスを持ち上げた。「君の涙に乾杯でも?」

私は乱暴に顔の涙の跡を拭った。「今夜、私と一緒にいて。あのクソ野郎のこと、忘れさせて。私がそんな簡単に扱われる女じゃないって、思い知らせてやりたいの!」

男の目に驚きが閃き、それから面白そうな笑みが浮かんだ。「本気かい? お嬢さん、俺はあまりいい男じゃないぜ」

「どうでもいい」私は残りのウィスキーを一気に呷り、胃が焼けるのを感じた。「今夜は、悪い子になりたいの」


中心街のホテルのプレジデンシャルスイートの豪華な内装に目眩がしたが、それ以上に私を魅了したのは、このミステリアスな男だった。彼は勇弥と名乗ったきり、それ以上は何も語らなかった。

「リラックスしろ。俺が面倒を見てやる」彼の声は深淵のように深かった。

彼のキスは巧みで支配的で、慎吾の若々しい熱情とはまったく違っていた。彼は女の体に触れる術を知っていて、私の体を燃え上がらせる方法を知っていた。

プレジデンシャルスイートの壁に私を押し付け、彼の荒々しくも正確な手が私のトップスを引き裂き、張りのある胸を露わにした。

彼の口がすぐに私の乳首に吸い付き、舌が強く吸い上げ、歯がちょうどよく噛みついて私を喘がせた。「蜂蜜みたいな味がするな、お嬢ちゃん。だが今夜は、お前を隅々まで貪り食ってやる」勇弥は唸り、その声には私が抗えない命令的な響きが滲んでいた。

私は喘ぎながら答えた。「じゃあ、そうして……私の体で、あのクソ野郎に仕返しさせて」

彼は膝をつき、私のスカートを乱暴に引き下ろすと、指で私の秘裂を広げ、舌が濡れて狂ったように私のクリトリスを舐め上げた。私の太ももが震える。

「あぁ、なんっと……あなたの舌……すごい!」私は彼の髪を掴みながら喘いだ。

彼は立ち上がり、ズボンを脱ぎ捨てて太く長いペニスを露わにする。先端からはすでに先走りが漏れていた。彼は私をくるりと後ろ向きにさせ、私の秘裂に後ろから少しずつ滑り込んできた。私の狭い内側が完全に満たされていく。

「きついな……お前は征服される必要があるんだろ?」彼は私の尻を叩きながらペースを上げ、突き上げるたびに奥深くまで打ち付け、私を叫ばせた。

「はい……もっと激しくにして! あの人のこと、忘れさせて!」私は叫び、体を捻って彼にキスをした。彼はさらに速く突き上げ、私の胸をまさぐり、彼のペニスが中の敏感な場所をすべて擦り上げた。

私たちはベッドに転がり込み、私が彼にまたがり、上下に跳ねるたびに私の秘裂が彼のペニスを飲み込んだ。

彼は呻いた。「もっと激しく乗れ……今夜、お前は俺のものだ」

オーガズムが波のように私を襲い、体が痙攣して潮を吹き、彼もすぐにそれに続いた。熱い精液が私の奥深くに注ぎ込まれる。

私たちは汗と体液が混じり合ってべとべとになったまま、一緒に倒れ込んだ。


朝の光が床から天井まである窓から差し込み、私が半裸で絹のシーツの上にだるそうに横たわるベッドを照らした。ほとんど眠っていないにもかかわらず、人生で最高の眠りだった。

突然、私の携帯が鳴った。慎吾からのビデオ通話だった。

一瞬ためらった後、私は悪意に満ちた笑みを浮かべた。復讐の時間だ。

「なぁ、昨日は俺が悪かった。話そうぜ――」電話から慎吾の声が聞こえてきたが、私の今の状態を見て彼は突然言葉を止めた。

私はわざとカメラに裸の肩と乱れた髪が映るようにした。「あら、慎吾。今さら少し遅くない?」

「待て、お前の隣にいるの、誰だ?」慎吾の声が鋭くなる。

私の後ろで、勇弥がちょうどカメラの方を向いた。そして彼が画面の慎吾を見たとき、私たち三人は同時に凍りついた。

「親父!? どういうことだよ!」慎吾の声はほとんど悲鳴に近かった。

私の血は瞬時に氷に変わった。

親父? 慎吾は今、この男を何と呼んだ?

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