第6章

夜の帳が下り、組織の会合室には紫煙が渦巻いていた。俺はテーブルの上座から、長老たちがひそひそと囁き合うのを眺めていた。今宵が平穏に終わらぬことは、とうに分かっていた。

「勇弥、話がある」最初に口を開いたのは、組織の長老である義雄だった。その声には非難の色が濃い。

俺は葉巻に火をつけ、ゆっくりと煙を吸い込んだ。「言ってみろ」

「このスキャンダルで、組織全体の面子が丸潰れだ」別の長老、正治が続けた。「他の奴らに笑いものにされている」

慎吾は壁に寄りかかり、冷たい笑みを浮かべていた。奴はこの時をずっと待ち望んでいたのだ。

「親父は女一人に現を抜かしている」ついに慎吾が口を開...

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