第8章

泉美

今日、私は勇弥の妻になる。

古い神社の入り口に立ち、私の心臓は激しく高鳴っていた。間近に迫った挙式のせいだけではない。昨夜、慎吾がロシア側と共謀し、私たちの結婚式を襲撃するという恐ろしい事実を知ってしまったからだ。

だが、昨夜の勇弥の手筈を思うと、いくらか心が安らいだ。

勇弥は一晩中、部下を配置していた。最も信頼する部下である隆を、会場全体を見渡せる櫓に。藤助と彼の狙撃チームは、周囲のビルに。神社の内部には、十数人の護衛が招待客を装って群衆に紛れ込んでいる。

「有利なのはこちらだ、泉美」昨夜、勇弥は私を強く抱きしめながら囁いた。「慎吾は我々が奴の計画に気づいていな...

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