第24章

松原南は気づいていたが、何も言わなかった。ただ脇にあった椅子を二脚取り、病床のそばへそっと置く。

「クルミ、さっき悪い人を追い払ってくれた……おばあさんよ。こういう時は、何て言うのかな?」

声はやわらかく、表情もひどく穏やかだった。

クルミはちらりと藤原奥様を見て、おずおずと口を開く。

「ありがとう、おばあさん」

その一言に、藤原奥様の心はとろけそうになった。

こんなに近くでクルミを見るのは初めてだった。思わず何度か瞬きをしてしまう。

傑に、そっくりだ。

まるで同じ型から抜き出したように、よく似ている。

藤原奥様は笑って二、三言やさしくあやすと、何気ないふうを装って尋ねた。...

ログインして続きを読む