第40章

契約書……?

松原南の眉間のしわは、最後までほどけなかった。藤原傑を一度見上げてから、すぐに視線を落とし、その「契約書」とやらに目を通す。

読み進めるほどに、彼女の表情は硬くなっていった。胸の奥に何かがつかえたようで、息苦しささえ覚える。

「藤原様……これは、どういうおつもりですか」

目の奥の戸惑いと動揺を押し込み、松原南はどうにか平静を装った。

「クルミは私の娘です。それなのに、こんな契約書までご用意なさるなんて……いったい、何のために?」

藤原傑とは、どういう男か。

上流階級では、その名を知らぬ者はいない。

そんな男が今さら、クルミを自分の娘として扱うよう求めてくるなんて...

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