第53章

翌日。

「彼女の手を診てやってくれ。右手だ」

藤原傑は病院の診察室に立ち、冷ややかな面持ちでそう言った。

その視線が隣の松原南へとかすかに流れる。急かすような色が、そこにあった。

松原南はようやく驚きから我に返り、思わず隣の男を見上げた。

藤原傑が、本当に彼女のために、これほど名の知れた整形外科医を呼んでくれた――?

松原家がまだ傾く前、彼女のために一度この医師を探したことがある。

けれど名声を得た人物ほど、診てもらうのは簡単ではない。

それに、その後のこともあって……。

南はまぶたを伏せ、数歩前へ出ると、自分の手を医師の前へ差し出した。

睫毛がかすかに震える。

頭の中...

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