第61章

人が出ていったかと思えば、入れ替わるように別の男が入ってきた。

「江村様」

声の調子は妙に落ち着いていて、へりくだりもしなければ、尊大でもない。

「お呼びとのことですが……誰を調べれば?」

「松原南の最近の動きを洗え」

江村成宏の瞳が暗く沈む。歯の奥を噛みしめる気配が滲んだ。

「俺をここまで惨めにしといて、あいつだけ無事でいられると思うなよ」

このところの彼は、まさに散々だった。

この件に藤原傑が絡んでいると知ってから、わざわざ人をつけて松原南を張らせた。――ところが。

一か月も張り込ませたのに、待てど暮らせど誰も現れない。

あの女の影すら見えなかった。

今どこにいる?...

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