第49章

「言わないでよ! あなたに会いに行くって言ったら、すぐ止めに入ってきたんだから! 彼と藤堂彰人があんなに仲がいいって知ってたら、あたしは……」

結城柚希は顔を真っ赤にしていたが、どうすることもできないようだった。

知っていたとして、どうなるというのだろう? 結城柚希は、伊集院隼人に恋する運命を避けられたのだろうか?

私は結城柚希の手を掴んだ。

なんと、私の手よりも冷たい。

「どんなことがあっても、自分をないがしろにしちゃだめ。あなたがずっと私に言ってくれてた言葉だよ」

今となっては、私たちの運命はなんとよく似ていることか。

伊集院隼人は結城柚希の彼への想いを利用して彼女を縛りつけ...

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