第50章
すべてを捧げ尽くし、自分自身を見失うほどの愛は、自分を大切にしていないということでもある。
けれど、好きな人を前にして、荒れ狂う感情を抑えつけられる者がどれほどいるだろうか?
藤堂彰人は、どうしてその愛を私に突き刺さる刃に変えることができるのだろう?
私が震える声で藤堂彰人に問い詰めると、彼の瞳が揺らめいたように見えた。何かが一瞬のうちに消え去ったかのようだった。
彼は私が点滴を受けている方の手を押さえつけた。わざとなのかは分からないが、ちょうど傷口の上で、私は思わず痛みに声を上げた。
「離して!」
手背を見ると、藤堂彰人の親指が出血箇所をちょうど押さえ、血が流れ出るのを止めていた...
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