第51章
私が無茶な要求をしているとは思わないが、それがよりにもよって藤堂彰人の逆鱗に触れてしまった。
彼が守るのは、藤堂家であり、相沢怜であり、私ではない。
「真相がどうであれ、藤堂社長ほどの力があれば、調査など容易いことでしょう。あなたが真犯人を庇うのをやめてくれるなら、あなたの要求を飲みます」
藤堂彰人は即座に拒絶した。「橘杏奈、つけあがるな。おまえにはすでに調査する権限を与えたはずだ」
フンと鼻を鳴らし、私は彼への嘲りを隠そうともしなかった。「それは私が子供を産むことに同意したから得られたものでしょう。たった数日で、あなたの恩恵に変わってしまったのですか?」
どうやら、私と藤堂彰人が心...
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