第53章

酒気が絶えず口の中に流れ込んできて、私も酔ってしまったかのようだ。もともと寝覚めの悪い頭は、ますますぼんやりとしてくる。

けれど、自分が置かれている状況が分からないほどではない。

私にキスをしているのは藤堂彰人。生理的な欲求を解消する時だけ、私に近づいてくる男。

ということは、今、彼が私の部屋に押し入ってきたのは、また私とセックスがしたいということなのだろうか?

胃のむかつきを堪え、彼の唇に強く噛みついた。

彼が目を覚まさないのではないかと心配で、ありったけの力を込めた。血の味がしても、口を離さなかった。

藤堂彰人が私の手首を掴む力が少し緩む。その隙に彼を強く突き放し、ベッドのヘッ...

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