第63章

彼のキスは決して優しくない。噛みつき、吸い上げ、私を痛めつけようと躍起になっている。

もし私を苦しめたいだけなら、こんな方法を取る必要はないはずだ。おかげで私は、陥落と覚醒の間を何度も行き来することを余儀なくされる。

なぜ彼は、まだ私を解放してくれないのだろう?

血の味が口の中に広がり、私はそこに微かな甘みさえ感じていた。

自分を傷つけて得た甘さなど、どれほど続くというのか。

我が身を燃やして愛を得ようとする代償は、万劫末代の苦しみでしかない。

私は強く唇を噛み締め、同時に彼の太腿の中心を蹴り上げた。藤堂彰人が身をかわした隙に、私は彼の拘束から逃れる。

そして立ち上がり、床を指差...

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