チャプター 17

ミシュランの星を持つレストランで、私はトーマスの向かいに座り、指先で水の入ったグラスの縁を落ち着きなくなぞっていた。見慣れた空気が、医学生だった頃の記憶を連れ戻す。あの頃は、何もかもが可能に思えた。

「ソフィア」トーマスの声は優しいのに、芯があった。「ヘンリーと離婚すること、考えたことはあるか?」

その問いは、含みの重さをまとって私たちの間に吊り下がった。手をつけていないサラダを見つめたまま、ここ数週間の出来事が一気に押し寄せる。ビリーの熱、ヘンリーの無関心、病気の息子など眼中にないみたいに、イザベラのもとへ迷いなく駆けていった姿。

「君はこんな扱いを受けるべきじゃない」トーマスは畳みか...

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