第202章

わたしはわざと顔を背け、彼と視線を合わせようとしなかった。あの哀れっぽい子犬のような目を向ければ、まだわたしに通じるとでも本気で思っているのだろうか。もう、あのころとは違う。彼に夢中で、たった一度目を向けてもらうためなら何もかも差し出せた、あのころとは。

だが、そんな女はもうどこにもいない。

女というものは、ある意味では単純だ。愛しているときは、すべてを犠牲にできる。けれどその愛が死んでしまえば、相手にほんの一瞥さえくれてやらない。

ヘンリーは、自分がわたしの心の中でどれほど大きな存在かを、どうやらひどく見誤っているらしかった。

わたしがなおも彼を無視しつづけていると、ヘンリーはついに...

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