チャプター 37

ヘンリー視点:

足音が廊下に乾いて響く。いつもなら崩さない平静が、分刻みでひび割れていくのが自分でもわかった。俺は病院の中を獣のように歩き回り、道を踏み外した妻を探していた。

「せ、先生……」若い看護師がおずおずと声をかけてくる。「西棟は、時間帯によっては立ち入りが――」

「知るか」吐き捨てた。完璧に仕立てたスーツだけが妙に場違いで、こちらは神経が擦り切れそうだった。ウィリアムの命令が耳の奥で鳴り続ける。ソフィアを見つけろ。ここへ連れてこい。今すぐに。

携帯が十回目の震えを告げた。発信者を確かめることもなく、俺は受話口に噛みつくように言った。「どこにいる」

向こうの沈黙が、心臓一つ分...

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