チャプター 62

ヘンリーの書斎を出て自室へ戻った私は、妙に胸がざわついていた。離婚協議書が見当たらないことが、必要以上に気にかかる。なぜヘンリーが隠すのだろう。

本を手にベッドへ潜り込み、ようやく落ち着いた――そのとき、鋭いノックが私を遮った。硬い三度打ち。ヘンリー特有の叩き方だ。平静を装おうとしても、心臓は勝手に早鐘を打ち始める。

「どうぞ」私は声を張り、掛け布団をさらに引き上げた。

扉は開かない。続けざまに、苛立ったようなノックが重なる。

ため息をひとつついて本を置き、足音を殺して扉へ向かった。ノブに手をかけた瞬間、ヘンリーが押し入ってきた。

「俺の書斎にいたな」彼は言い切った。問いではない。断...

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