チャプター 88

ヘンリーに導かれて病院の廊下を歩いたことも、ビリーと私がいつの間にか彼の車に乗り込んでいたことも、ほとんど覚えていない。思考はとっくに遠くへ漂っていた――きっかり六年前へ。必死に忘れようとしてきた記憶が、何度も頭の中で巻き戻される。

ハーパー・デイヴィス。行き場のない怯えた妊婦だった私に、一度だけ優しさを向けてくれた女。

病院の建物が途切れ、街路へ変わり、やがてメイプル・グローブへ続く並木道に入った。私は窓の外を見つめていたが、何も見えていなかった。記憶と後悔の霧の中で、ただ立ち尽くしているようだった。

「ママ、大丈夫?」

ビリーの幼い声が、現実へ私を半分だけ引き戻した。小さな手がため...

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