チャプター 96

救急チームは手慣れた無駄のない動きで、ウィリアムを担架から病院のベッドへ移した。モニターが規則正しく電子音を響かせるなか、看護師たちは彼の弱りきった身体にいくつもの管やコードをつないでいく。酸素マスクは、苦しげな呼吸のたびにうっすらと曇った。

リチャードが病院に着いたのは、それから一時間後だった。いつもは非の打ちどころなく整っている身なりも、急いで駆けつけたせいで乱れている。集中治療室の待合に足を踏み入れ、ひとりで座るヘンリーの姿を目にした瞬間、その顔は怒りでどす黒く沈んだ。

「おまえ……」

低く唸るように言いながら、リチャードははっきりとした足取りで息子へ歩み寄った。

「いったい何を...

ログインして続きを読む