第十章

救急車の到着は早かった。甲高いサイレンがレストランの外でけたたましく鳴り響く。

救急隊員の到着を待たず、和也は雪菜を抱き上げて飛び出していった。

晴美は片手で息子の手を引き、もう片方の手で戸惑う寧々を引っ張りながら、ぴったりと後を追う。「雪菜、しっかりして! 救急車はすぐそこよ!」と口走っていた。

初音はその場に立ち尽くしていた。手足が氷のように冷たい。目の前で起きた突然の混乱を、ただ見つめている。

さっき、軽く避けただけだ。力など入れていない。それなのに、どうして雪菜は……それにあの血……そしてさっきの言葉。『私たちの子どもを助けて』?

まさか雪菜は、和也と……子どもまで作ってい...

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