第12章

梨乃の慌ただしくもエネルギッシュな様子を見て、初音の胸に澱んでいた鬱憤が少し晴れた。

彼女はふっと笑みをこぼした。

「分かった。あなたの言う通りにする」

梨乃はそれでようやく満足したのか、嬉々として持参した紙袋を開け、宝物でも見せるようにコーヒー豆とチョコレートを取り出した。

「ほらほら、まずはこれ味わって。目覚ましよ。目の下、真っ青じゃない。昨夜も何時まで起きてたの?」

二人が話していると、実験台に置いていた初音のスマホが鳴った。

画面の着信表示に目を落とし、彼女の表情がふっと和らぐ。通話ボタンをタップした。

「もしもし、百合子さん」

『初音、今忙しい? 仕事の邪魔してない...

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