第16章

リビングでは、大人たちが食後の茶を飲みながら談笑していた。

初音はキッチンの片付けに向かい、和也もちょうど仕事の電話がかかってきてバルコニーへ出ていった。

一方、寧々は欲しかったぬいぐるみを約束してもらって上機嫌だったものの、両親が構ってくれないため、一人でリビングをうろうろするうちにすぐ退屈してしまった。

持ち前のわがままな気性がふつふつと湧き上がり、傍らにいる悠のことが、どうにも気に食わなく思えてくる。

ふんっと顎を上げて近づいていくと、ちょうど悠の前にマスカットの皿が置かれていた。大粒で丸々と実り、いかにも美味しそうだ。

彼女は小さな手を突き出し、その皿を指差して悠を睨みつけ...

ログインして続きを読む