第39章

雪菜は宙に浮かせた手を止め、一瞬だけ気まずそうな顔をしたが、すぐにいつもの表情を取り繕った。

「あとにするわ」

そう言って、彼女は初音を振り返った。

「初音、和也の面倒を見てて。私、朝ごはん買ってこようかな」

そう言い残し、バッグを手に取って病室を出て行った。

彼女が去ると、病室には初音と和也、そして寧々だけが残された。

寧々はベッドの縁に突っ伏し、小さな手で和也の指を握りしめ、目を真っ赤に腫らしている。

初音は傍らに立ち尽くし、言葉にできない複雑な思いを抱えていた。

先に口を開いたのは和也だった。

「昨日、どうして一言もなしに帰ったんだ?」

その咎めるような口調に言葉を...

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