第44章

通話を終えても、初音はリビングに立ち尽くしたまま、スマホを握りしめていた。胸の奥のざわめきが、なかなか収まらない。

研究室の封鎖が解除されたのだ。

この半月、那美に寄り添い、家のことをこなして忙しくしてはいたが、常に重い石が胸につかえているような気分だった。

プロジェクトはストップし、菌株は死滅し、サンプルも失われた。どれも彼女が昼夜を問わず注ぎ込んできた心血の結晶であり、その損失は到底お金で計れるものではない。

考えたくもなかったし、直視するのも怖かった。ただひたすら体を動かし、余計なことを考える隙を与えないようにするしかなかった。

それが今、ようやく決着がついたのだ。

胸のつ...

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