第56章

翌日の午前中、初音は藤原家の広大な邸宅の門前に立っていた。

今回は、和也が彼女を連れてきたのだ。

皮肉なことに、この広大な敷地を誇る邸宅に彼女は数え切れないほど足を運んでいるが、一度たりとも軽い足取りで訪れたことはない。

この門をくぐるたび、彼女はまるで審判を待つ罪人のようだった。今日はどんな冷たい視線と皮肉が待ち受けているのかと怯えながら。

だから、門の前に立っただけで、無意識に深呼吸を始めてしまう。

予想外なことに、和也がふいに彼女の手を握った。彼の乾いた掌に包まれて初めて、自分の手が汗ばんでいることに気づいた。

「怖がるな。俺がいる」

その言葉に、初音はさらに驚愕した。

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