第58章

週末の朝早く、初音は起きて身支度を始めた。

クローゼットの前に立ち、似たようなデザインの服ばかりが並ぶ中身を見つめ、ふと呆然とする。

しばらく探し回って、ようやく隅の方からベージュのワンピースを引っ張り出した。

長くしまい込んでいたせいか、生地からは微かに防虫剤の匂いがする。

袖を通し、鏡に映る自分の姿を見て、思わずぼんやりしてしまった。

まともに着飾ったのは、いつが最後だっただろうか。

この六年間、毎日家事に追われ、一番よく着ていたのはルームウェアかパジャマ。仕事に復帰してからも、シャツにスラックス、その上に白衣を羽織るだけだった。

外へ着ていける服を一つ見つけるだけでも一苦...

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