第12章 アレックスの優しさ

オーロラ・ロス視点

私は大きく息を吸い、酔いを喉の奥へ押し込めた。できるだけ平静を装って玄関を上がり、靴を替え、そのまま寝室の扉へ向かう。

ソファにはアレックスがいた。ワインレッドのガウンは胸元がだらしなく開き、鍛え上げた筋肉が覗いている。氷みたいな碧い瞳が、苛立ちを隠しもせず私を射抜いた。

――自分から跪いて、伺いを立てろってこと?

眉間に力が入る。けれど見ないふりをした。さっきの商談で神経を削られすぎた。今夜は、喧嘩をする気力なんて残っていない。

寝室の前まで来たところで、背後から低い声が落ちてくる。

「オーロラ。愛人が金主に向ける態度が、それか?」

頭が割れそうだった。た...

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