第132章 やはりお前か

オーロラ・ロス の視点

客船のデッキ。

潮の匂いを含んだ風を、私は顔を上げて受け止めた。

背後にはバンクスとレオ。男たちの視線が私に絡みつくたび、二人がさりげなく壁になって遮ってくれる。

一方でベレは賑やかなのが好きだ。さっさと声をかけてきた男に連れられ、反対側で楽しげに談笑している。

表情を見る限り、雰囲気は悪くない。

……呆れる。

この女、ここへ来た目的を覚えてるの?

手にしたグラスをひと口。退屈を紛らわすように、私は人の波を流し見た。

仮面をつけた連中の目には、妙な獣性が宿っている。

名乗らなければ誰にも正体は割れない。だから動作は大胆になり、言葉のブレーキも外れる...

ログインして続きを読む