第40章 スケープゴートになる

口を開こうとした、その瞬間。会議室のドアがまた勢いよく押し開けられた。

秘書が素早く脇へ退く。

背の高い男が、視界に入った。

暗紅色のスーツ。胸元には漆黒の宝石を嵌めたブローチ。派手に誇示するでもなく、それでいて一目で分かる――金と地位の匂い。低く、華やかで、圧倒的。

室内が一瞬固まり、次いで、慌てて道が開かれた。

「社長……!」

アレックスが部下を連れて入ってくる。誰にも余計な視線は投げず、会議卓の一角へ淡々と腰を下ろした。

上座じゃない。

それなのに、場を支配するのは彼だった。指先ひとつで裁断が下る。そう思わせるだけの冷たい威圧感が、空気を塗り替える。

――ここで決める...

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