第12章 調子に乗る田舎者

車から降りてきたのは、見るからにみすぼらしい格好の女だった。とくに羽織っている外套はつぎはぎだらけで、どう見ても――乞食同然。

執事は目を見開いたまま固まった。

夏川瑠璃は、その執事の顔色がおかしいことに気づき、反射的に視線の先を追う。

相手の姿を認めた瞬間、眉間に深い皺が刻まれた。

「……なんで、あんたがここに?」

夏川家が田舎から連れ戻してきた、末の娘。

瑠璃の脳裏に浮かんだのはひとつ――夏川家が自分を連れ戻しに来た、という図だった。

いずれ泣きついてくるとは思っていた。でも、こんなに早いとは。

家が火の車になって、瑠璃が高見浩然と付き合っていることを知り、今さら手のひら...

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