第15章 なんてありきたりなナンパのやり方

「神医さん、どうか……お願いします!」

夫婦の態度は、もはや平身低頭と言っていい。

この光景を見れば、誰だって目を疑うだろう。海市で我が物顔に振る舞う高見家が、誰かにこんな頭の下げ方をする日が来るなんて。

それでも、夏川紅蓮の瞳は微塵も揺れなかった。

いったん決めたことを、他人の都合で曲げる気はない。

「機会はもうあげた。掴めなかったのはそっち。私のせいにしないで」

言い捨てて、彼女は二人の懇願を背に歩き出す。

治してほしいと願う人間なら掃いて捨てるほどいる。彼女が診るかどうかは、結局のところ「縁」だ。

そして残念ながら――高見家と自分に縁はない。

そのとき、団地の入口へ高...

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