第175章 毒を盛る

八雲穹がぶつぶつと何か言い続けているうちに、車が一台、すっと横付けされた。

彼女は乗り込み、そのまま去っていく。

それを見届けてから、夏川紅蓮はようやく外へ出た。顔のマスクを外し、高見邸へ入る。

高見正国はすでに応接間で待ち構えていた。高見浩然もいる。

そして紅蓮にとって意外だったのは、高見唯月まで同席していたことだ。

唯月は紅蓮に話しかけはしない。ただ、無言のまま一緒に階段を上ってくる。

――言いたいことがある。

紅蓮はそれを察した。だが人目がある。今は口にできないのだろう。

紅蓮は気づかないふりをして、淡々と二階へ向かった。

祖父の部屋に入ると、八雲の祖父は相変わらず昏...

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