第178章 似た容貌

一方――。

高見正国は夏川紅蓮に、千回でも万回でも言い足りないほど礼を述べた。

当の夏川紅蓮は、ほとんど表情を動かさない。ただ一言だけ。

「面倒を増やしたくないなら、早めに連中を送り返して」

「……はいっ」

高見正国は反射的に背筋を伸ばして応じた。

夏川紅蓮に向ける態度が、さっきまでとは明らかに違う。先ほどまでは「丁寧」だった。今は「恭しい」。

――この女には、逆らえない。

高見正国は腹の底からそう思っていた。

夏川紅蓮は続けて高見唯月に言った。

「ちょっと疲れた。食事は明日にしよう。店の住所、送って。明日は必ず時間どおりに行く」

高見唯月も無理に引き止めなかった。

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