第25章 蓮さんだ!

「いててて……ボス、離してよ! 何するんだよ!」

うみは状況が飲み込めないまま、痛みに任せて叫び、金田寅助に放せと喚いた。

だが金田寅助は、うみの悲鳴など聞こえないかのように無視し、そのまま引きずって夏川紅蓮の目前まで連れていくと、ようやく手を離した。

寅助は二歩下がり、背筋を正したまま深々と頭を下げる。

「蓮さん!」

地べたのうみが起き上がろうとした、その瞬間。

「蓮さん」という呼び名が耳に入った途端、動きがぴたりと止まった。

蓮さん――その名は、トラ会の末端に至るまで骨の髄まで叩き込まれている。

掟はただ一つ。

暗部に手を出すな。まして暗部のボス、「蓮さん」には絶対に逆...

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