第31章 汚すぎる!

ショッピングモールは人でごった返していた。

江口沢は次々と通行人を押しのけ、エスカレーターを駆け下りていく。

夏川紅蓮は、他人にぶつかるのを嫌って速度を落とさざるを得なかった。胸の奥がざわつく。――高柳月代が自分を売った件、江口沢は知らないかもしれない。そう思っていた。

だが、いまの逃げ方を見る限り――こいつは知っている。いや、下手をすれば、江口沢の入れ知恵だ。

モールを飛び出しても、江口沢は通りを縫うように走り続けた。

人の数が減ったところで、紅蓮はようやく距離を詰める。細い路地の入口。そこで江口沢の進路を塞いだ。

無表情。瞳の奥だけが冷え切っている。

「江口沢、何を逃げてる...

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