第34章 兄さんたち

白石知葉――白石勇己の娘だ。

そして白石勇己といえば、帝都のほうで何度も、表から裏から暗部を狙い撃ちしてきた男。

「暗部のような組織は存在すべきではない」

そう政府に最初に言い出したのも、あいつだった。

暗部が痛手を負った裏には、白石勇己の働きが決定的にある。

だからか。

白石知葉という名前に、妙な引っかかりを覚えたのは。

白石勇己の一人娘。逃げようのない「的」だ。

夏川紅蓮はゆっくり目を細めた。獲物の匂いを嗅ぎつけた狼みたいに。

「なら、新しい恨みも古い恨みもまとめて返してやる」

夏川懐理がきょとんとして訊く。

「新しい恨み? 古い恨み?」

紅蓮はしまった、と内心で...

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