第50章 身の程知らず

白石夫人はそう言いながら、あの日、美容院で夏川紅蓮と顔を合わせたときのことを持ち出した。

白石勇己は眉を上げる。

「本当に、お前が縁談を探してやるって言っても断らなかったのか?」

「ええ、まったく。むしろ嬉しそうなくらいだったわ。南雲穗香には隠して、お兄さまを婚約披露の席に連れてくるって言ってたもの。きっと海市のきらびやかさに目がくらんだのよ……まあ、せっかく戻ってきたと思ったら、夏川家の会社はもう店じまいだけど」

白石勇己の顔からは、さっきまでの怒気がすっかり引いた。だが、まだ迷いは残っている。

「光城は目が肥えてる。あいつがそんな田舎育ちを気に入るか? そもそも、あれはこっちの...

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