第55章 彼は好意を示している

夏川紅蓮は、「彼に恋人がいるのかどうか」なんて話題にこれ以上付き合う気はなかった。さっさと追い返すことにする。

「もう遅いですし、諏訪さんもご多忙でしょう。お帰りになったほうがいいのでは?」

「いや、まだだ」

諏訪淳行はそう言って、湯呑みに目を落とした。

「このお茶、まだ飲み終わっていない」

夏川紅蓮は、こいつを一発殴り飛ばしたい衝動をどうにか押さえ込み、拳をぎゅっと握りしめる。

「だったら早く飲んでください」

飲んだらとっとと帰れ。

あと1秒でも一緒にいたら、本気で手が出る気がした。

初対面のときは、ここまで厚かましい男には見えなかったのに。どうして会うたび、図々しさが更...

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