第23章

「違います」浅川月が言った。「会社だって、ついさっき知ったくらい。前は広報がずっとあなたの火消しで手一杯だったから、田山監督に交渉する余裕なんてなかったのよ」

盛川が沈村蓮を育てる方針に切り替えたとはいえ、沈村蓮はまだ無名に近い若手だ。そこまで会社が動くとは考えにくい。

沈村蓮も、そう思った。

――石野様が動いた?

通話を切ると、沈村蓮はすぐ石野様にメッセージを送った。

だが返ってきたのは、石野様本人も状況を把握していないという反応だった。自分は何もしていない、と。

沈村蓮は眉間にわずかに皺を寄せる。

考えすぎだったのか。田山監督が、大崎副監督が葉山詩音を露骨に持ち上げて自分の...

ログインして続きを読む