第34章

浅川月は場面を丸く収める挨拶を見事に並べ立て、田山監督も聞いていて気分がよかったのだろう。その場で杯を取り、酒の代わりに茶で二人へと敬意を示した。

浅川月は沈村蓮がその杯を受けるとは最初から思っていない。にこにこと笑いながら、代わりに受けてみせる。

ほどなくスタッフが料理を運び終え、卓上は色も香りも申し分ない皿で埋まった。思わず箸が進みそうな匂いが立つ。

田山監督はどうやら本気で沈村蓮を引き上げる気があるらしい。食べながら最近の仕事の段取りを話し、沈村蓮にスケジュールの空きがあるかまで尋ねてくる。口ぶりからして、何かしらの案件を紹介するつもりなのが見え見えだった。

浅川月は目を輝かせ...

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